【手紙のススメ】手紙(文通)から「友達」になれるの?

緊急事態宣言の解除が進み、学校の再開も決まりつつありますが、まだまだコロナの収束とはいえない現状、どのような日常を迎えるべきか悩ましいところです。

ですが、1日1日は進んでいき、私たちは生きていかないとならない。

そんな何よりまず自分のことをどうにかしないといけない状況に、いや、そんな状況の今こそ、「友情」について考えてみたい思います。


手紙で友情を築くには~「友情」はどんなもの?


・友達ってそもそも何?「○○友」は友達?

まず、友達は何かと調べてみると、

互いに心を許し合って、対等に交わっている人。一緒に遊んだりしゃべったりする親しい人。

コトバンクより

とあります。
今、レタ友やリア友、ツイ友など「○○友」と友達をその場その場で分けて使う機会が多く、「友達」が「互いに心を許し合って」「対等に交わって」という点を踏まえると、今の「友達」は「知り合い、少し話す人」という意味合いの方が強いと言えそうです。

そうなると、普通に文通で何度もやりとりしていれば、簡単に「レタ友」になれると思います。
でも「単に手紙をやりとりするレタ友」から「友達」になることはできるのでしょうか。

・「友達」になるには―「友情」を築くこと


一般的に「友達」といえば、気が合い、一緒にいると楽しくて、何でも話せて、通じ合って・・・そんな存在ではないかと思います。
そんな存在になるには、何が必要なのでしょうか。
それは「友情」が築けているか、ということです。
「友情」について調べてみると、こう書いてあります。

友だちの間で、相手の立場を尊重し思いやる心。友のよしみ。

コトバンク(精選版 日本国語大辞典)より

お互いを尊重し、思いやりの気持ちが築けているかどうかが、「友情」が築かれた「友達」になれるということではないでしょうか。
つまり、「友達」は、「お互いに」相手を見下したりせず、何を大切にしてるかを理解し、それを尊重してくれる存在であると言えます。
そんな「友情」を築くには、何をする必要があるのでしょうか。

自分のことを理解してもらい、相手のことを理解する必要があります。
そのためには、まず「心を開く」ことが大切です。


友情を築くには、「心を開くこと」から始める

自分のことを理解してもらうためには、相手のことも理解しなければなりません。
そのためには、まず自分から「心を開く」必要があります。
私たちの日常生活におけるコミュニケーションは、基本「会話」です。
まずその「会話」から、そもそも友情を築くにはどうしたらいいか見ていきたいと思います。

例えば学校で新学期、新しいクラスに入った時、どうしたらいいのでしょう。
まず相手へ話しかけてみて、反応がよければ少しずつ話をしてみて、気が合いそうかな、共通点は何かあるのかなと、お互いのことをささいなことでも「会話」をして知っていきます。
相手と楽しく話ができそうだなと思えば、そこからさらに心を開いてみて、自分の考えや思いを話してみます。相手からの反応がよさそうなら、さらに深い話をしてみるチャンスです。

このように、まずは、心を開いて「話しかけてみる」。そうして話をしていく中で、自分の考えや感じたことを「率直に話してみる」。それが友情を築く第一歩であり、そこから、心を閉ざさずに、相手のことを知り、理解していく努力を惜しまなければ、友情を築いていけるのではないでしょうか。


手紙で友情を築くには…「相手を思いやること」が大切

では、手紙(文通)の場合はどうしたらよいのでしょうか。手紙の場合も会話と基本的には同じですが、会話とは違い最初から自分の話がしっかりとできます。

  • どういう毎日を過ごしているのか
  • どういったことに興味があるのか
  • 何が好きであるのか
  • どういう考えを持っているのか
  • どんなことが嫌いなのか・・・など

そんなことが書かれた手紙を受け取った相手は、その内容を踏まえて、「心を開いて」自分の話を書きます。それを繰り返しながらお互いのことを知っていきます。

会話で急に自分の話をペラペラと話されたら「何なの…」となりますが、手紙なら別に当たり前のことです。
でも、だからといって自分勝手な思いばかり手紙に書いていては相手は嫌な気持ちになります

手紙でも「相手のことを気遣う」ことはとても大事です。

  • どう書いたら相手にきちんと伝わるか
  • どう表現したら嫌な気持ちにならないか
  • 相手へ質問してみたり、相手の好きそうな話を書いてみる

と、常に相手のことを思い浮かべて手紙を書けば大丈夫です。
「相手のことを気遣う、思いやる」ことは、手紙に限った話ではありませんが、独壇場になりかねない手紙だからこそ注意してみて下さい。
そこが、手紙で友情を築くポイントになります。会えない分、その思いはとても重要です。


手紙(文通)で「友情」を築くポイントは…「リラックス感」と「満足感」!?

会話も手紙も、「心を開いて」相手に接することが大事で、手紙はさらに会話よりも「相手のことを気遣う」気持ちが大切になることが分かりました。
次は、会話と手紙の違いから、手紙で「友情」を築くポイントを見ていきたいと思います。
下記に違いをまとめてみました。

  • 会話は、まず話しかける必要がある。
    手紙は、話しかけなくても自分の番がきたら話せる(書ける)。
  • 会話は、話すテンポや相手の雰囲気などに囚われて、うまく話せないことがある
    手紙は、自分のペースでしっかりと自分の思いを書くことができる。
  • 会話は、気軽に冗談を言ったり、下らない話をしたりと「遊び」の時間がある。
    手紙は、相手の反応がすぐには返ってこないので「遊び」の時間はあまりない。
  • 会話は、「遊び」の時間に囚われると、なかなか本音で話をする機会がなくなる。
    手紙は、「遊び」の時間がないので、しっかりと本音が書ける。


・リラックスして伝えられる

会話は、自分から話しかけてみないと(話しかけてもらえる場合もあるが)何も始まらないことが大きな特徴と言えます。その第一歩がなかなか難しい場合が多い。勇気がいることだからです。社会生活を送る上でその勇気を持つことはとても大切なことですが、うまくできない場合もあると思います。
一方手紙(文通)は、自分の番が決まっています。自分の番がきたら、存分に自分の話が書けます。クラスなどで自己紹介をするときは緊張してうまく話せないこともありますが、手紙なら間違えても消して書き直すこともできます。リラックスして自分の話ができます。それだけで心は自然と開いていきます。


・コミュニケーションの満足感

さらに見ていくと、会話の良さは「遊び」であることが分かります。
「遊び」は冗談を言ったり、下らない話をしたり、そういう笑い合える会話ならではの楽しみです。会話の醍醐味のひとつとも言えます。
この「遊び」がうまくいくと仲が急速に発展し、一緒にいるだけで楽しい時間が過ごせるようになります。「気が合う」という感覚に近いものです。そういう雰囲気になるだけで、自然と自分の気持ちも話しやすくなるかもしれません。
一方、「遊び」がない分「手紙」は、その場の楽しさよりはコミュニケーションの満足感の方が高くなります。自分のこともしっかりと伝えらえて、相手のこともしっかりと伝わってくる―それだけで不思議と気持ちが満たされていきます。
ゲラゲラと大笑いすることは少なくても、しっかりと気持ちが行き交っていればそれだけで十分だということが、文通するとよく分かってきます。


手紙から「友達」にきっとなれる!

文通相手とは学校の友達のように、実際会って多くの時間を共にしているわけではありません。手紙の中に書かれた、相手の一部分だけでどんな人であるのか想像する必要があります。でも、狭い便箋の中で書かれたその人の思いや過ごし方などから、何となく伝わるものはあります。そこから何度もやりとりをして、自分の思いを書き、相手もその思いにこたえてくれ、そして相手の思いを受けとめていくことを続けていけば、自然と「友情」が築かれていくのではないでしょうか。

「手紙」は「会話」のように「遊び」の時間はあまりないかもしれません。
けれど、「遊び」のように表面の楽しさに囚われることなく、内面で繋がっていくことができます。そんな中、「心を開いて」「相手への気遣い」を忘れることなく真摯に相手と向き合っていく―そうすることでもしかすると、会話よりずっと深い「友情」が築けるかもしれません。

手紙で始まる友情は、きっとあると「レタコミュ!」は思っています。